私だけのキャンディ④私たちの世界
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ここ数ヶ月、ある出来事に打ちのめされ続けた私へのメッセージかと思ったのが、次のエピソード。
チエちゃんの不在時に、
以前チエちゃんが交通事故に遭った時、現場に居合わせて救急車を呼んであげたから謝礼を下さい、とわざわざ住所を調べてきた人(しかも事実はこの人は何もしていなくて助けてもいない)が訪ねてきます。
主人公の私は驚き、打ちのめされます。
なんてことを言うのだろう、なんてことを思いつくのだろう…と気が動転する主人公に対して、機内で運命的な出会いを果たした篠田さんは、
「しょげないで、大丈夫、俺たちの世界は奴の世界じゃない。俺たちの世界にはまだたくさん仲間がいる。誰かがケガしたことや、誰かを助けたことでお金を取ろうと思わない人のほうが多い」と言ってくれるのです。 (p185-190)
誰かに親切をすると気分が良くなりますよね。
けれど、度が過ぎてしまうとその好意から出た行為は「〜してあげたのに」「なんで〜」に繋がってしまう。
そもそも「のに」がつく行為を私はやりたくないのです。自分の心が辛いだけだから。
見返りを求めたり打算で動いたり、そういうことが多かれ少なかれ必要な場面はあるのかもしれないけれど、私はそういうのは、本当にいやなんです。
「のにジュース」を飲むくらいなら最初から付き合いません!!
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吉本ばなな『チエちゃんと私』
文春文庫 2009年4月10日初版
写真提供 www.pakutaso.com
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