私だけのキャンディ②ダイヤモンドの瞳
前回はこちら▶️
生きていることを心の底から肯定できるひとが、どれだけいるだろう。
「チエちゃんは自分自身をうとんでいるだろうか?愛していないだろうか?」
しかし答えはNOだった。
長い長い道のりを経て、明らかにチエちゃんは自分が確かにこの世の中に産まれてきたことを肯定していた。
それは確かだった。
そうでなければあんなダイヤモンドの瞳は持てない。
ただ、それはどれだけ長い孤独な道のりだったのだろう、と私は推測した。
他人以外に自分を愛している人がいない子供時代をチエちゃんは一歩一歩歩んできたのだ。
そしてどう考えても、自分の意志でそれを乗り越えたのだ。
ー略ー
生きていると毎日は真剣白刃取りのようで、スリル満点だ。
ひとつ間違えると大変なことになる。
(p166-167)
自分の心の奥のところ、闇の部分から目を逸らさず向き合っていった結果がチエちゃんなのだろうと思う。
チエちゃんになれるかはわからないけれど、今はとにかく、前後裁断。
続きはこちら▶️
吉本ばなな『チエちゃんと私』
文春文庫 2009年4月10日初版
写真提供 www.pakutaso.com
0コメント