作詞のハナシ-深度のバランス-⑤


最初に。

これは、私が今まで関わってきた作曲家さんや作家さん、
そして及川眠子さんのご本やその他の様々なところで吸収し
自分の感覚に合ったものを好んで用いているやり方なので、
「違うよー」とか「合わないなぁ」と思った方はそっとページを閉じてください。

創作は自分の感覚がとても優先される行為だと思っています。

ご自身の感覚を信じてください。

ただ、作詞作曲について学べば学ぶほど、
作家さんの努力や途方もない苦労が偲ばれて、
なにより面白さにのめり込んでいる自分がいるので、
その面白さや裏側をちらっとでも垣間見せたくて、想いがあふれたときに書いています。


当たり前じゃんと思われるかもしれませんが
日本語の作詞のすごく幸運なところは
ひらがな・カタカナ・漢字・英語の組み合わせで詞が書けることです。

組み合わせのパターンが多いので、それだけオリジナリティあふれる作品を創れる可能性が広がります。

英語圏の作詞はアルファベットの組み合わせで作るため、そこから考えると恵まれていると言えるでしょう。

世界のメロディは出尽くしていると思っているので、「新曲を書いた」と言ってもそれは自分が知らないだけで、世界のどこかには必ず存在しているのだと思っています。

不毛な砂漠地帯を歩いていくようなものです。
砂漠の中で埋もれずに、一粒の砂金に変わる可能性があるのだとしたら、その方法の一つは「作詞を磨く」ことだと思っています。

だから言葉には敏感でいたいし、言葉を大切にしています。
言葉を紡ぐ人たちを尊敬していますし、大事にしたいと思っています。

以前もどこかで触れたかもしれませんが、「卵が先か鶏が先か問題」があって
メロディの方が大切だとか詞の方が大切だとか、はたまた「アレンジ命でしょう」とか「どんなに名曲でもボーカルがダメならダメでしょう」とかもっと言うと「売り方次第でしょう」など色々あるかと思いますが、
砂金に変わる可能性で言うなら、私は「全てが大切でバランスが大事」と考えます。

その中でいま、私にできること、そして私がしたいことが"歌を磨くこと"と"作詞を磨くこと"なので、blogしかり普段の生活でも作詞に関するハナシが必然的に増えていくというわけです。


深度について。

一つの曲(J-POP)を作るときに大切なのは
①掘り下げ方
②言葉の選び方
③メロディと作詞のバランス

掘り下げ方=深度 です。

ここで大切なのは、ただ単に「深ければ良い」わけではないということ。

私の曲でいうと
「F.」が深度的にはかなり深めですが、想いを比較的ストレートに言葉にして伝えているので、いわゆるバンド曲的な作り方です。
想いは深く、作詞はシンプルに書くやり方。

「恋夢」は深度はそこそこ、メロディが上下に動く分、メロとのバランスで作詞を一歩引いて書いています。
ちなみに、深度そこそこというのも、敢えての掘り下げ度です。


メロディと作詞のバランスはとても大切です。
たとえば、中島みゆきさんの「糸」
松任谷由美さんの「守ってあげたい」

言葉に乗せられた想いを伝えたいから、メロディは一歩引いてシンプルです。

ポルノグラフィティさんの「アゲハ蝶」
物語を語るようにメロディに乗せてくるくると舌の回る、歌うのが楽しい楽曲ですが作詞はその分引いて書いています。


ライブ活動を始める前から色々とお世話になっていて、楽曲提供も沢山してくれている、私の作詞の先生でもあるかーりーことkarihara yousukeさんは
「深度を、自分で掘り下げていけるのは才能だ」と言っていました。

誰にでもできることではないのだと。

こころを裸にすることしかり、さらけだすこと、綺麗も汚いも良いも悪いも強いも弱いも、醜さすべて見つめて自分と向き合う作業をこれからも突き進めていきます。

より"良い曲"を届けたいから。








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