とうめいな悲しみ

早朝から午前中にかけて少しずつ曇っていき、今はしとしと雨が降っています。



大学生の頃、後日レポートを提出することを条件に、大学が卒論の研究費用(旅費など)の一部を補助してくれる制度がありました。



本当は別テーマで書こうと決めていたのですが、宮沢賢治が好きすぎる私は「卒論は宮沢賢治をテーマに書きます!」と言ってその制度を利用させてもらい、岩手の花巻に旅行に行きました。


宮沢賢治のゆかりあるところを訪ねる、充実した旅行でした。

もちろんレポートもしっかり書きましたよ。




それはさておき。

彼の作品に「永訣の朝」という詩があります。



けふのうちに

とほくへ いってしまふ わたくしの いもうとよ


で始まる詩です。


初めてこの詩を知ったのは高校の国語の授業だったと記憶していますが、出だしの一文だけですっと悲しみに引き込まれてしまったのを覚えています。



けふのうちに

とほくへ いってしまふ わたくしの いもうとよ

みぞれがふって おもては へんに あかるいのだ

(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)



( )の妹の言葉が、胸にきます。

この詩はとうめいな悲しみにあふれています。


悲しみは極限までいくととうめいになるのだと思います。


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